頭蓋顔面領域の再建 〜3D プリンティング技術の応用〜
- 日程:
- 平成28年2月5日(金)
- 場所:
- 日本大学歯学部歯科病院
以下の事を学んで参りました。
頭蓋顔面領域の再建~3D プリンティング技術の応用~
頭蓋顔面組織は複雑な三次元(3D)構造により構成されている。本文献では、さまざまなプリント様式の違いや利点、材料面での制限について論じ、現在の頭蓋顔面組織再生についての最新の文献をレビューする。
Three-Dimensional Bioprinting for Regenerative Dentistry and
Craniofacial Tissue Engineering
F. Obregon, C. Vaquette, S. Ivanovski, D.W. Hutmacher, and L.E. Bertassoni
J Dent Res 2015; 94(9): 143-52.
プリンターの種類
3Dプリンターは、材料を層ごとに積層し立体構造を構築する。プリントする構造はコンピューターによりデザインされるか、もしくはCT、MRIもしくはX線画像により設計される。最新のプリンターシステムは
インクジェットプリンター、レーザープリンターもしくはミクロ押し出しプリンターの3つのカテゴリーに分類される。
材料
組織再生療法においてポリマーハイドロゲルは理想的なプリント材料である。ハイドロゲルは流動学的同調性,高い生体親和性をもち、その特性は細胞外マトリックスに類似している。セラミックのスキャホールドは細胞親和性に乏しいが、長期的な物理的スペースの保持を可能にし、多孔性の構造が骨形成能を増加する。また、細胞凝集と細胞スフェロイドによる3Dバイオプリンティングは10年前に開発されて以降注目を集めている。
頭蓋顔面再建
熱溶解積層法で作製したスキャホールドは骨と軟骨の再生のために開発され、高過重負担部位に適している。また近年では、歯周組織再生分野において歯周組織の特性や形状を模倣した階層的なスキャホールドの開発が進んでいる。
軟骨に関しては、顎関節の関節円盤や外耳の軟骨をハイドロゲルやスキャホールドで修復した例を挙げる。歯髄の再生に関する文献はいまだ少ないが近年開発されたスキャホールドが海馬のニューロンを増殖、分化させ, ニューロンネットワークを作るという報告がある。
結論
近年のバイオマニュファクチャリングの先進的な技術の開発により、歯や頭蓋顔面領域に近い構造を作製することに成功した。今後この分野のさらなる可能性を実現するために、技術と基礎的生物学を効果的に相互作用させる必要があるだろう。