トピックス

江戸川区学校歯科医会 講習会に参加しました。


場所:
江戸川区歯科医師会 会議室
演題:
乳歯列から永久歯列への矯正治療の関わりについて
講師:
広瀬 圭三 先生(江学歯会員、江歯会員)

乳歯放出開始から永久歯列完成迄の期間において、乳歯列・混合歯列で矯正歯科治療による早期コントロールが必要な症例と、第2大臼歯放出完了後に永久歯列矯正治療を開始するケースとの2つに大別されます。
乳歯列においては唇顎口蓋裂の骨移植、前歯部反対咬合、口腔周囲筋のトレーニングが必要な症例、著しい下顎骨側方偏位症例などがありますが、永久歯列に対するその効果のアドバンテージは唇顎口蓋裂の骨移植以外証明されていないのが現実です。
人間の脳は6歳までに90%完成することから、その時期に治療の有用性に判断のつかない幼児に矯正治療によるストレスを与えることは、健全な脳の発達に悪影響を及ぼすことが懸念されます。
また学童期の混合歯列期においては、積極的な矯正治療のアプローチが必要不可欠な症例があり、主に骨格性Ⅱ級、Ⅲ級、下顎骨側方偏位症例、悪習癖(舌癖、拇指吸引癖など)が挙げられます。
下顎骨は、体幹の骨と同種で成長発育をコントロールすることは不可能ですが、上顎骨は前方成長抑制、前方牽引、側方拡大が可能なことより、不正咬合の症例に応じてポジション、幅径の調整が可能です。
舌癖(異常嚥下癖)は、学童期に舌癖防止装置と筋昨日療法(MFT)を併用した治療が理想で、永久歯列矯正治療後の安定に必要不可欠な要素となります。
また、混合歯列期の重度の叢生症例については、乳歯の早期抜歯による咬合誘導が必要なケースも見受けられます。
しかしながら、混合歯列期迄の矯正治療で完結する事は稀で、最終的にはマルチブラケット法を用いた永久歯列矯正でアンテリアガイダンスの構築が最終的なゴールです。
適切な混合歯列期矯正治療を行うことが、永久歯列矯正治療の期間短縮、治療結果の安定、クオリティーの向上につながると考え、その必要性と見分け方について症例を見ながら勉強して参りました。

これから、講習会で学んだことが、患者さんのお役に立てられればと思います。